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防諜七則

人文閣『新生活の建設』報知新聞社文化部(1942)

防諜訓(防諜協会発表)

防諜七則

第一、日本は今戦争をしている事を忘れるな

もっと生活が不自由になり、もっと物資が不足する事があったとしても戦地で闘っている兵隊さんの事を考えればまだまだ贅沢だ。不平不満を言う前に兵隊さんに感謝せよ


第二、外国の第五列※1になるな

外国の第五列になる人とはどんな人物か。一寸物資の配給が悪いとすぐ騒いだり、少し収入が良いとすぐ派手、自堕落な生活をしたり、あるいは私利私欲のために売り惜しみ、買いだめ、闇取引をする人達である。第五列がフランスを亡ぼした実例を忘れるな


第三、日本精神に還れ

舶来といえば何でも珍重がられた時代があった外国模倣が過去において、どのくらい日本の国民を毒したか。外国輸入の個人主義、自由主義、物質万能主義を捨てよ。お国のためには生命も金も喜んで投げ出す日本精神に還れ


第四、国民は持ち場職場で全力を挙げてご奉公せよ

戦争に勝つためには平素の二倍も三倍も働かねばならぬ。国民が流した汗の一滴一滴が打倒蒋介石の武器となり東亜共栄圏建設の礎となるのだ。明るい希望に燃えながら子孫のためにもっと汗を流せ


第五、国民は一致団結せよ

国の大事を外にして党派に分かれて喧嘩したり大同を捨てて小異を争い、論議ばかりで日を暮らし。党派や論議で国家の栄えた例はない。国民は等しく、天皇陛下の赤子せきしなることを肝に銘じて一致団結せよ


第六、役にも立たぬ得にもならぬ事を喋るな聞くな

一寸した立ち話からも国の秘密が盗まれる。噂話は尾にひれつけて伝えられ『デマ』となって銃後を乱す。秘密を口にしたり『デマ』を撒き散らすことはお国に弓引くことと心得よ


第七、尊厳なる我が国体を信仰せよ

皇統連綿※2二千六百年、我が建国の大精神は世界に光被こうひし、八紘一宇の皇模こうぼは全人類にあまねく顕現けんげんし以って皇国の弥栄いやさかは必然なることを信仰せよ


※1 第五列……スパイのこと。またはレジスタンスも指す 
※2 皇統連綿……皇室が絶えることなく綿々と続くさま 

人文閣『新生活の建設』報知新聞社文化部(1942)p141-143

※文章は読み易くするため適宜、旧漢字は新漢字に、ルビや送り仮名、仮名づかいなども訂しています。

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