風船爆弾
最後の決戦兵器
光人社NF文庫
◆日本本土から飛行30時間アメリカを直撃した秘密兵器。直径10メートルの気球は和紙と蒟蒻糊で作られ、焼夷弾を懸吊し、高度1万メートルの太平洋上を音もなく飛翔する。国運を賭して厖大な労働力と国家予算の1割が投じられた奇抜な作戦の全貌。
◆日本人の知恵は底知れず測り難い。次にどんな頭脳的兵器を作るか判らない―戦後、風船爆弾を調査した米軍関係者は想像を超えた奇妙な兵器をつくり出した日本人の神秘性に恐れを抱いたという。紙と糊でつくられた“戦略兵器”の実体とその製作・実践担当者の苦悩、秘匿下の基地周辺住民の心情まで描いた話題作。〈ISBN〉9784769823142
- プロローグ
- 第一章 天と地の間
- 「ふ」号作戦とは/16
- 吊り下げられたゴンドラ/24
- フランスでの新しい試み/27
- 悲しき部隊/42
- コンニャク糊と紙の軽い翼/55
- 高度一万メートルの風/62
- 陸軍と海軍/67
- 食料も衣類も不足/76
- 念願した一〇万個はとても無理/80
- 気球の根とは/93
- 陸軍の指揮の下に海軍が/103
- 平潟から五浦一帯の主要基地/115
- 民間の奉仕隊/121
- 第二章 危急存亡
- 秘密工場の内部/127
- 洩れる軍の機密/136
- 「戦闘行動中の戦死」/144
- ダルマ環からロープははずれ/154
- 七〇〇発の第一回放流/161
- 祭典のフィナーレ/167
- 犬死にでよい/169
- 伝えられた外電/182
- 作業場の焼失/195
- 屍を越えて/201
- 完全な挫折/204
- 第三章 終幕の宴
- アメリカの防衛/208
- ロス博士の推測/215
- アラモゴルド砂漠での炸裂/219
- 無条件降伏へ/222
- 基地跡/226
- 太平洋の藻屑と化す/231
- あとがき/237
- 主要参考引用文献と資料/242