パリからニューヨークへ向かうジェット旅客機の機内に、素晴らしい美女が座っていた。トランシルヴァニア国の王女ルナ姫である。彼女は、未来透視の優秀な才能を持つ神秘家だった。
精神を集中して予知夢の世界に入った彼女の意識を、突然、強烈な衝撃が襲った。彼女の膝の上の水晶球が炸裂し、そのかけらが機内に飛散した。彼女は、この旅客機がまもなく爆発する事実を知ってしまったのだ。そして、「ジェットが落ちる!」という彼女の絶叫の直後、凄惨な現実が訪れた――。
宇宙の破壊者“幻魔”と、ルナ姫を中心に結束する正義の超能力者の戦いを描く壮大な宇宙ドラマ第一弾!
地球征服を企む、宇宙の巨大な破壊者“幻魔”。その力は、星の一つや二つ、一瞬のうちに消滅させてしまうほどの物凄さである。そして今、幻魔の尖兵が早くも地球に侵入していた。
幻魔軍団には、いかなる近代兵器も全く用をなさない。彼らに対抗し得るのは超能力者だけであった。地球防衛のため、自らも偉大なエスパーであるトランシルヴァニア国の王女ルナ姫は、宇宙戦士ベガと共に世界中から有能なエスパーを探し集めていた。そして、その中に日本の高校生東丈がいた……。
宇宙の邪悪な存在に敢然と立ち向かう正義のエスパー戦隊の活躍を描く、壮大な宇宙ドラマ第二弾!
「あっ!」丈の唇から激しい驚愕の叫び声が迸った。彼にはもはや、狭い自室のたたずまいは見えず、閃光と銃声のさ中で猛り狂ったハーレムの群衆が、シネラマのスクリーンを見るような迫力で眼前に迫ってくる。その時、女の鋭い悲鳴が丈の超常感覚を呼び覚した。ルナ姫がテレパシーで救いを求めているのだ。「姉さん、王女を助けにアメリカへ行く!」と言うやいなや、丈はいかなる高速ミサイルも及ばぬスピードで飛翔し、残像を残して消えた――。
遂に開始された邪悪な“幻魔”の地球侵攻に敢然と正義の戦いを挑む超能力者戦隊の活躍を描くシリーズ第三弾!
並みはずれた体力の田崎は獣のように吠えながら、木刀を振り降ろした。丈は微動だにせず、これを頭上で受けた。丈の額に筋を引いて鮮血が流れる。田崎は、素手の相手を撲殺した恐れに戦いた。その時、「それで気がすんだのか?」と丈が平然といった。
高校二年の超常能力者、東丈の周辺に変化が生じた。なぜか、彼の周りに人が群がり始めたのだ。やがて“GENKEN”と呼称される組織が結成され、全校的な規模に広がっていった。丈は、これを全人類的な愛の結束にまで高め、幻魔の侵略に対抗しよう考えていた。だがその時、強力な邪魔者が現われた。
好評の「幻魔大戦」シリーズ第4弾!
高校生超能力者東丈は、ごく短期間のうちに見違えるような人間的成長を遂げた。彼が主催する研究会「GENKEN」は瞬く間にその規模を拡大し、今や校外にまで支部ができていた。
だが全宇宙的な脅威幻魔の地球侵攻を真に理解する者は少なく、組織の巨大化に伴う利権を狙う劣悪な大人の会員が多い。この傾向を苦々しく思っていた丈は、新支部結成の幹部会席上で、遂に怒りを顕にした。すると信じられないような現象が起きた。全開になった窓から真冬の寒冷が容赦なく吹き込んでいるにもかかわらず、室内が燃えるような暑さにおおわれたのだ!
圧倒的好評を博すシリーズ第5弾!
理路整然と言い返す丈に、父龍介の怒りが爆発した。彼は、卓上の厚手のウィスキー・グラスを掴むや否や、丈の顔めがけて思い切り投げつけた。丈の額が割れた、と思った瞬間、さりげなく伸びた丈の手が寸前でグラスを捉え、一滴もこぼさずに卓の上に戻していた!
ようやく落ち着いた父から聞いた話は驚嘆すべきものであった。戦火のどさくさに生まれた丈は、今の父の本当の子かどうかわからない。そして幼時には、庭の石燈籠を飛ばしたり、大きな蛇や狼の化物を呼び出して遊んでいたというものだった……。
明らかにされた丈の出生の秘密。いよいよ佳境に入ったシリーズ第6弾!
幻魔に憑依された江田四朗の行為はあまりにも卑劣だった。まがまがしい祭壇の上に、純心な女子高校生久保陽子が気を失い、全裸で横たえられている。肌は蒼白く、いたましい姿だった。
彼女に何か危害を加えられたことは明白である。「何をしたの?」 突き上げる不安に、三千子は鋭く詰問した。だが、四朗は嘲笑を浮かべ、うそぶいている。三千子は怒りに熱くなった。すると、三千子の全身から凄じい火炎が放射され、四朗の顔面が熱で溶解し始めた。そして中から、異形のものの無気味な素顔が……。
妖しい力を身につけ、丈の活動を徹底的に妨害する幻魔の手先江田四朗。敢然とこれに対決する丈と姉の三千子の活躍を描いた、シリーズ第7弾!
講演会の成功により、「GENKEN」事務所に素晴らしい人材が加入してきた。現役の秘書で遠感能力者の杉村由紀である。さすがプロだけに由紀の仕事ぶりは鮮やかで、山積する業務をテキパキと処理していった。
だがその頃、恐るべき幻魔の魔手が、丈のアシスタント郁江を襲っていた。まだ十代の彼女が子宮癌という業病に取り憑かれたのは、明らかに幻魔の仕業である。見破った丈は、由紀と、市江の弟明雄の遠感を借りて、邪悪な病魔の摘出に全エネルギーを注ぎ込んだ!
エスカレートする幻魔の攻撃。強力な超能力者を味方に得て正義の戦いを挑む丈の活躍は? シリーズ第8弾!
「手を掴まえているんだ。何が起きても放すなよ」 郁江と杉村由紀は丈の左右の手をそれぞれしっかり掴んだ。丈の手から生体エネルギーが二人の体に流れ込み、精気が充満してくる。
午前二時、突如、ぶんと不快な唸りが部屋中を震わせた。荒々しい邪悪な波動が体当りしてきたのだ。しかし丈の築いた力場はびくともしない。やがて青黒い鱗を持った恐竜のような顔が闇の中に浮かび始めた。焦りと憎悪でその目が真赤に燃え上がっている。だがそれも束の間、恐竜の醜貌が一変し、別な顔が現れた。そしてその顔を見た瞬間、丈は思わず息を飲んだ……。
凶悪な幻魔の手から郁江を救おうとする丈たちに危機が! シリーズ第9弾。
「郁江が病院からいなくなりました」電話の向こうで気の抜けたような呟きが聞こえる。郁江の父親からだった。幻魔の仕業ではという不安が三千子の心を覆った。弟の丈には連絡がつかない。三千子は出来るだけ冷静に相手をなだめ、電話を切った。もし、丈が報復のため、その巨大な超能力を行使したら……?
幻魔と力と力の対決になれば、丈は圧倒的な勝利を得るだろう。だが、幻魔の目的は暴力的な低次元の闘いに丈を引きずり込み、丈の信用をがた落ちさせることにある。三千子は肝の冷えるような恐ろしさを味わった。
大好評のシリーズ第10弾!
広大な宇宙で数百億年もの間、延々と続いている超大規模な戦闘。それは凄じい破壊力で全宇宙を壊滅させようとする暗黒の軍団“幻魔”と、宇宙を守るために立ちあがった“大連盟”との戦いである。だが戦況は幻魔の圧倒的優位に展開し、銀河系宇宙も戦いの渦中に巻き込まれていった。そして今、地球が幻魔の侵攻にさらされている!
いかなる近代兵器も通用しない幻魔の唯一つ対抗しうる手段は、超常能力の結集であった。驚異的念動力を持つ日本の高校生東丈は、地球の超能力者戦団のリーダー、ルナ姫の啓発で、恐るべき幻魔の侵攻を人々に知らせる組織“GENKEN”を創設した。短期間に信じ難い人格的成長を遂げた丈の魅力に惹かれて多くの人が集まり、組織は急速な発展をみた。
だが、巨大化していく組織の運営の難しさや、親衛隊である有力会員を襲う幻魔の卑劣な妨害工作に、丈の苦悩は深まるばかりであった。幻魔のために癌を患った親友井沢郁江を奇跡的に救った直後、丈はかねてから執筆していた幻魔大戦の原稿の出版が決定した。そして今、“GENKEN”は新年講演会に向けて活況を呈している……。
ますます白熱する幻魔との闘い。大好評のうちに迎えたシリーズ第11弾!
幻魔江田四朗に軟禁されて悪の洗脳を受け、今や、その手先に成り下がっているはずの久保陽子が戻ってきた。GENKENの新年講演会場に姿を現わしたのだ。彼女は、幻魔のスパイとして送り込まれたのだろうか?
丈と井沢郁江は、まったく抵抗なく陽子を受け入れたが、過去の事情を知っている古い会員たちは動揺した。とりわけ、丈の秘書杉村由紀は、なぜか激しい胸騒ぎを覚えるのだった……。
愚かなあやまちを繰り返し、滅亡への一途を辿る人類に警告する、好評のシリーズ第12弾!
GENKEN事務所に屈強な四人の男が入ってきた。鋭い目付きや黒背広の彼らは一目でヤクザとわかる。ひときわ貫禄のある男が、会長の丈に会いたいと申し出た。以前、郁江高鳥に痛めつけられた手下のことで因縁をつけに来たのだ。男は、素直に応じなければ会の醜聞にして外部に流すと脅し始めた。受付の女性たちは怯え切って満足に応待できない。
その時、執務室から郁江が出てきた。彼女は、その場の様子を一瞬のうちに察知すると、「先生には後で説明するわ」と言い残し、外に待機する彼らの車に平然と乗り込んだ……。
組織の存亡に関る危機を丈はどう乗り切るのか? 好評のシリーズ第13弾!
郁江は指定された通り、コイン式望遠鏡で景色を眺め始めた。「何か面白いものが見えますか?」 突然、背後で声がした。幻魔が現われたのだ。幻魔は、振り返ろうとする郁江を制して望遠鏡を正面のビルの屋上へ向けさせた。あっ、という声が郁江の喉から漏れた。もう一人の郁江が、じっとこちらを見返していたのだ!
江田四朗を裏切った幻魔の一人が“GENKEN”に内通してきた。幻魔担当係の郁江が丈の名代で接触を試みたのだが……。
じわじわと忍び寄る幻魔の魔手。週末は近い。東丈は切迫した人類の危機を救えるか? シリーズ第14弾!
GENKEN箱根セミナーの二日目は、初日とは異る昂りの中に明けた。雰囲気はがらりと変り、苛立たしい不快な緊張感が横溢している。東丈が渡米の準備で夜のうちに帰京し、セミナーが丈抜きで行われるなどという噂がもっともらしく人々の間に浸透していた。さらに、金髪美女や黒ん坊の幽霊を見たという会員もかなりいて、全体に浮き足立っている。セミナーどころではなかった。だが、この混乱を見事に静めた者がいる。井沢郁江だった。彼女は、巧みな話術で聴衆を自在に操り、人々を完全に魅了してしまった……。
忍び寄る恐るべき幻魔。会の中心的人物にも魔の手が迫る。大好評のシリーズ第15弾!
主宰の東丈が不在のまま継続されたGENKEN箱根セミナーも、いよいよ大詰を迎えていた。だが、井沢郁江の独断専行に、一部の会員たちから強い反発が出てきた。
まず、秘書室の年長者夏本幸代が、会長の丈が留守の間は何事も幹部会員の合議制で決めるべきだと郁江を非難した。これに対し郁江は、自分が丈から会の運営を内々に任されたことを知らせた。ショックを受けた幸代は、血相を変えて部屋を飛び出していった。その時、入れ違いに入ってきた無名塾の田崎と白水美晴が、恐るべき情報を持ち込んできた……。
幻魔に打ち勝つ唯一の手段、光のネットワークは完成できるのだろうか? 大好評のシリーズ第16弾!
いよいよ明日は、丈の名代でアメリカへ行かなければならない。丈の秘書を解任され、後釜には郁江が選ばれた事実に、杉村由紀は落胆していた。自分に落度があったとはどうしても思えない。こみ上げてくる虚しさに、由紀は無性に酒が飲みたくなった。そして、衝動的に赤坂のホテルへ足を向けると、たて続けにグラスを空けた。
だが、泥酔し、疲れ果ててマンションの部屋に戻ってきた彼女は、恐るべき事態に遭遇した。残虐極まりない、あの暴力団塚田組の幹部矢頭が待ち伏せしていたのだ……。
幻魔の標的は東丈の側近杉村由紀だったのか? 大好評のシリーズ第17弾!
旧約聖書で“主の日”と呼ばれる人類滅亡の日、すなわちハルマゲドンの予告は、過去に数多くなされてきた。〈山々は主の前に揺れ動き、丘々は溶け去る。大地は御前でくつがえり、世界と、これに住むすべての者も……〉
“主の日”は、ノアの大洪水、ソドムとゴモラの滅亡、そしてバビロン壊滅という形で現われ、その予言はいまだ有効である。その日が訪れるのは必ず、おごり高ぶった不遜な人類、道義的に腐敗しきった人間たちに対する神の怒りが頂点に達した時だ。そして“主の日”こそ救世主再臨の日でもあるのだ!
物質文明に完全に毒され、心の貧困に陥った現代の人類に、滅亡をもたらす“主の日”は近い。
自ら身を投げ出して隷従を誓う河村蓉子を見下ろしていた高鳥慶輔の身裡に、力強い誇りと昂ぶりが湧き上がってきた。高鳥は真剣に世界の帝王たることを欲した。全ての人間を足許に跪かせたいと望んだ。その時突然、体が炎を発したように熱くなった。やがて、彼の体内から何かが急速に喉へせり上がってきた。両手で喉を掴みながら、高鳥は驚いて見上げる蓉子の前にバラバラと異物を吐き出した。それはパチンコ球ほどのサイズの黄金色に輝く円球だった……。
“真の救世主”と自認する高鳥慶輔の恐るべきパワー。主宰東丈を欠くGENKENの前に新たな脅威が! 大好評のシリーズ第19弾。
井沢郁江主導の形で運営されるGENKENは、次第に全体のまとまりに欠け始めた。郁江の親衛隊ができ、会の内外に対し、横暴な行動をとるようになった。また、郁江自身も、東丈からあとを託された重責と焦りのためか、持前の軽妙さが影をひそめ、エキセントリックな面が目立つようになった。
郁江の立場を理解しながらも、無名塾のメンバーを中心に、会のあり方に対する批判が出始めた。そうしたさ中丈の姉三千子が警察から呼び出しを受けた……。
揺れ動くGENKEN。光のネットワークは果して完成するのだろうか?
読者待望の第一期完結篇。