まちづくりデッドライン
(
木下 斉、広瀬 郁 )
◆日本の都市の中心部分である「まち」の衰退に対して問題意識を持ち、今後も生活の場所として持続させるために何らかの行動が必要だと感じている全ての人に向けた一冊。「まちを」を新しい時代に対応できるカタチにつくり変えるための“教科書”です。高度成長の時代と同じ発想のままでは、「まち」という大切な場所が廃墟になってしまいます。今こそ、昔の発想とは真逆の方法と行動が求められるのです。時間の猶予はありません。現実を正視して、「まち」を守るために今すぐ立ち上がりましょう。
◆想いを遂げるには「守り方」を知る必要がある。本書は、まちを新しい時代に対応できるカタチにつくり変えるための教科書である。高度成長の時代と同じままの発想では、僕らの大切な場所は廃墟になってしまう。昔の常識とは“真逆”の方法と行動が必要だ。時間の猶予はない。現実を認識し、まちを守るために、今すぐに立ち上がろう。
目次
はじめに
なぜ本書は存在するのか?──僕らが伝えたいこと
「原因と結果」を読み解く力を持てば、課題もよく分かる!
「仕組み」を理解すれば、自分のまちを守ることができる!
現場主義で嘘のないまちづくりを解説する
CHAPTER 1 お金とお客は「正直」だ まちの姿にはワケがある
1-1 都市の中心部と郊外 君はどう感じるか?
1-2 メインストリート まちの「表の顔」から 個性が消えていった…
1-3 路地裏 ひっそりと守られた まちの裏側の「趣き」
1-4 転換期の幕開けが来た まちの流れは変わる!
CHAPTER 2 まちはなぜ大きくなった? 統計の「数字」から遡る
2-1 新しい時代の価値観は 新しいゴールを求める
2-2 統計 数字の動きから把握する まちの拡大・縮小の原理
2-3-1 歴史 製造力の拡大から転換し まちの維持が課題になる
2-3-2 終戦~1950年代 人口が爆発的に増大しまちの成長が始まった
2-3-3 1960~1970年代 全国に分散・拡大し地方の時代が訪れた
2-3-4 1980~1990年代 永遠の成長の夢が砕け地殻の変動が起こった
2-3-5 2000年代~現在 新たな投資は控えて過去の資産を活用する
2-4 これからの「つくる」は「量の供給」とは違う
CHAPTER 3 まちの「仕組み」を まずは頭に入れよう
3-1 プレイヤーのつながりを見渡し まちを理解する
3-2 財務諸表 お金の「整理の方法」から まち全体をイメージする
3-3 バリューネットワーク 経営の視点を持ち込み「血行」の改善を図る
3-4-1 売る⇔買う 商品・サービスと同時に「空間体験」も提供する
3-4-2 仕入れる/つくる 商品をどう仕込むかで経営のポイントを左右する
3-4-3 貸す~借りる 立地と空間の選び方が店舗の勝ちを左右する
3-4-4 建てる 不動産オーナーの判断がまちの将来を左右する>
3-5 そこに「集まる」ことで 固有の魅力が生まれる
CHAPTER 4 全てがひっくり返った 発想を逆転させよう
4-1 「いい時代」が過去になり 常識がガラッと変わる
4-2 供給者優位が終わり 全て消費者の主導に
4-3 関係の逆転を前提に まちをつくり変える
逆転時代のモデル
4-4 新たな挑戦者のために 安くても儲かる構造に
4-4-1 市・屋台
4-4-2 DIY・セルフビルド
4-5 複数の収入源を確保 相乗効果を持たせる
4-5-1 ネット販売
4-5-2 コンバージョン(用途転用)
4-6 集まる強みを生かして コストの構造を見直す
4-6-1 シェア
4-6-2 コラボレーション
4-7 複数の役割を兼ね 粗利を大きくする
4-7-1 製造小売
CHAPTER 5 日本の各地で胎動が それぞれの「守り方」
5-1 まち間の競争を常に意識し 一体になって守りを固める
5-2-1 枚方宿くらわんか五六市、鍵屋別館(大阪・枚方市) 青空市からのチャレンジ 新たな起業者を育むまち(写真/解説)
5-2-2 北の屋台(北海道・帯広市) オリジナル屋台を開発 まちに起業者を送り出す(写真/解説)
5-2-3 北浜alley、N.Y.GALLERY(香川・高松市) 湾岸の倉庫街を改修 設計者自ら運営する(写真/解説)
5-2-4 co-lab(東京・渋谷ほか) クリエイターの協業を促し 新たなビジネスを生み出す(写真/解説)
5-2-5 メルカート三番街/ポポラート三番街(福岡・北九州市) 若いテナントは必ずいる 奔走した設計者らの確信(写真/解説)
○キープレイヤーに聞く 嶋田洋平さん/企画・設計者
5-2-6 米子市中心市街地活性化(鳥取・米子市) 苦境が生んだ米子方式 複数のまち会社が競う(写真/解説)
○キープレイヤーに聞く 杉谷第士郎さん/タウンマネージャー
CHAPTER 6 すぐに実行に移そう 変革を導くステップ
6-1 無理をせずに利益を生む それが力を取り戻す源泉
6-2 不動産オーナーと商店経営者のアクション まちを事業体に見立て それぞれの役割を再考
6-3 「経営力」5つのポイント 資産活用や費用削減 基本に忠実に進める
エリアを守り、まちを変革する7つのステップ
6-4-1 ステップ1:デッドラインの設定 まずは守り抜く エリアを決めろ
6-4-2 ステップ2:武器の調達・点検 まちに残る資源を 手元にかき集めろ
6-4-3 ステップ3:事業主体の設立 まちづくり会社をつくって すぐに行動開始せよ
6-4-4 ステップ4:行動計画の立案・実行 機敏に動けるように 独自の作戦を立てろ
6-4-5 ステップ5:事業成果の継続・展開 スピードを緩めずに 成果の連鎖を起こせ
6-4-6 ステップ6:新規事業の開発 成功には安住せずに 新たな策を繰り出せ
6-4-7 ステップ7:まちづくり事業の自立 手を離せるくらいに 変革を軌道に乗せろ
6-5 資金・支援制度・法制度・連携 まちの変革に向かい 現場が直面する課題
参考文献
おわりに