福井モデル
未来は地方から始まる
(
藤吉 雅春 )
◆共働き率と出生率で全国平均を上回る北陸三県。幸福度も世帯収入も高い。その秘密は何だろうか?たとえば、メガネの生産で世界に名を馳せた福井県鯖江市。市民は、「日本でもっとも早く中国にやられた町です」と笑う。ところが、「もっとも早くやられた町」は、いつの間にか「最先端のデータシティ」に変貌を遂げていた。地盤沈下しない都市には、歴史的な「強い教育力」と、平等な「協働システム」がある。大阪、富山、福井を歩き、日本ならではの都市再生モデルを考察した、気鋭のルポ。
目次
プロローグ 二十年前のベストシティはその後どうなったか?
第一章│「過去」 未来は過去の中にある
・発見された遺体
・少子化対策を阻んだA級戦犯
・「二〇二五年問題」は住民の生死に直結する
・企業誘致という誤解
・「大阪化」か「京都化」か
・地域経済と教育の関係
第二章│「現在」 世界を唸らせた富山市の挑戦
・世界でブレークした富山市
・住みやすさが負担になる日
・人を誘導する「仕掛け」
・「お得感」をどう出すか
・人口を維持した「理屈づくり」
・カネが落ちるフリーミアム戦略の成功
・コピペ政策の原動力=シビック・プライド
・街をつくるのは誰か
・江戸時代からやっているサプライチェーン戦略
・人口四千人でも自己組織化は可能だ
・人を引きつける磁場とは何か
・人を誘惑するスライド式補助金
・芸術家たちの目に見えない役割
・郷土愛を支えた新旧融合のシナジー
・ウォシュレット普及率全国一位が示すもの
・斜陽産業は先端産業だ!
・ローカル企業は土俵を変えれば、世界のメンターになれる
・価格競争で勝てないなら、法律を変える
第三章│「未来」 新しい仕事を創り続ける福井モデル
・斜陽産業版シリコンバレー
・なぜ産業が強くなるのか?
・なぜ「日本一」と「世界一」の企業が多いのか?
・女性の「幸福度」は高いが、男性は低いのはなぜか?
・幸福感をもたらす「新しい職業の作り方」
・経済成長を栽培する「エコノミック・ガーデニング」という新潮流
・直接民主主義体制の町
・一九七八年生まれがつくる「鯖江モデル」
最終章│すべての答えは、学校の授業にあった!
・一九九八年に日本は変わった
・教育は投資だという「逆算の発想」
・三十年前に見つけたコラボレーション
・丸テーブル効果で「考える質」を変えた
・「思考のプロセスを可視化」する授業
・価値を発見する方法を学ぶ
・三年後の到達点が見える教科センター方式
・学校建築そのものを変える
・「学校教育がわかり合える場所だというのは、美化されすぎだ」
・福井県の人々の家庭生活