商店街はいま必要なのか 「日本型流通」の近現代史
(
満薗 勇 )
◆「安くて便利で消費者のため」のその先は? 百貨店、地方と都会、戦前の通販の黄金時代、商店街と地域、スーパーと消費者革命、家族経営が基本の、日本型コンビニの誕生と進化。1900年代から現代まで、日本人の買い物の歴史から考える。
◆「安くて便利で消費者のため」のその先は?百貨店、通販、商店街、スーパー、日本型コンビニ。1900年代から現代まで、日本人の買い物の歴史から考える。
目次
プロローグ
商店街をどう見るか
「日本型流通」をめぐって
商店街への思い
中小小売商と商店街
五つのトピックと視点
第1章 百貨店──大都市の百貨店が変えたもの
百貨店を知らない大学生
そもそも百貨店とは何か?
三つの類型──大都市呉服系・電鉄系・地方百貨店
呉服店の近代化と百貨店化
現金正札販売の導入
洋風建築と広告のイメージ
土足入店の始まり
「デパートガール」
店員の養成
地方での出張販売
対抗する地元小売商
反百貨店運動
反対運動の論理
第一次百貨店法
第2章 通信販売──戦前の婦人雑誌・百貨店通販の黄金時代
リアル店舗は不要になる?
そもそも通信販売とは何か?
アメリカの通信販売の歴史
日本の通信販売は明治時代から
大きかった三越の通販部門
顧客の注文のしかた
定価表と代理選択で顧客に対応
地方の顧客と都会の流行
なぜ顧客は代理選択を受け入れたのか
婦人雑誌が一〇〇万部売れた時代
「近代家族」はどのように新しかったのか
婦人雑誌の代理部が百貨店顔負けの存在に
新商品の流通網をひらく
第3章 商店街──「商店街はさびれるのか?」を問い直す
商店街と「まちづくり」
そもそも商店街とは何か?
一九三〇年代の商店街
戦後の商店街史
行商から店舗へ
地域のなかで
一九三〇年代の徳島市の例
掛売り・御用聞き
スーパー・百貨店との競争
食料品の例から
街の電器屋さん
割賦販売
「商店主婦」の役割
商店主婦は忙しい
第4章 スーパー──「流通革命」と消費者の時代
ダイエー中内㓛の「流通革命」
「消費者」という言葉がキラキラしていた時代
そもそもスーパーとは何か?
日本では一九五〇年代から
総合スーパーと食品スーパー
ダイエーの例
大きかった問屋の役割
長く続かなかった「安売りを武器に」の時代
食品スーパーの挑戦
「職人の世界」とスーパー
プリパッケージ・システム
主婦パートをめぐる状況
「消費者」からスーパーを捉え直す
消費者運動と流通革命
大店法の成立
厳しい規制はどこから生じたか?
現実の消費者と理念としての消費者のズレ
第5章 コンビニエンス・ストア──日本型コンビニと家族経営
「日本型コンビニ」は家族経営
コンビニエンス・ストアの四つの特徴
一九二〇年代アメリカの氷の小売販売店が起源
日本では一九六〇年代終わりから
日本型コンビニへの道
多頻度小口配送はどのように実現したのか
コンビニおにぎりを支えるしくみ
メーカーとの商品開発
特定地域に集中出店する理由
脱サラ組の増加とフランチャイズ店
なぜ近所に同じチェーンの店ができるのか?
「廃棄ロスを恐れるな」と言われても
「見切り販売」
人件費をめぐる問題
コンビニの労働問題
コンビニ店長への調査結果
ブラックバイトとコンビニ
コンビニは日本型流通の究極の形か?