半市場経済 成長だけでない「共創社会」の時代
(
内山 節 )
◆競争原理の市場経済に関わりながらも、よりよき働き方やよりよき社会をつくろうとする「半市場経済」の営みが広がりはじめている。「志」と「価値観」の共有が働くことの充足感をもたらす共創社会の時代を遠望していく。
目次
はじめに
序章 いま、どんな変化が起こっているのか
ひとつの時代の終わり
前提が崩れた
神話の終焉
新しい経済デザインと社会デザインを
新しい価値の創造と経済学
第一章 経済とは何だったのか。あるいは、労働の意味を問いなおす ─経済・コミュニティ・社会─
経済と労働
つかみとれる幸せの大きさ
新たな一体化へ
ともに生きる社会、ともに生きる経済の創造へ
現代社会と「伝統回帰」
関係性、共同性、共創
第二章 エシカル・ビジネス ─「縁」を結ぶ組織、「縁」を紡ぐ働き方─
「ビジネス」とは何なのだろう
「ステークホルダー」が広がった
オーガニック・コットンを私たちにもたらしてくれた──株式会社アバンティ
「ただしい家具」──株式会社ワイス・ワイス
エシカル・ビジネスの考えかた
恩返しと恩送りの──佐呂間漁業協同組合
元祖エシカル・ビジネス・アントレプレナー、ロバート・オウエン
従業員に会社をプレゼントしてしまった、ジョン・スピーダン・ルイス
昔からあった。昔は当たり前だった
二十一世紀の妙薬? 「幸せな資本主義」
提案! ふたつのエシカル・ビジネス・モデル
コーオウンド・ビジネス(従業員所有事業)
非成長型ビジネス
エシカル・ビジネスの行きつく先
第三章 存在感のある時間を求めて ─「時間による支配」から「時間の創造」へ─
未来による現在の支配
「人間の商品化」としての賃労働
「われわれ時間」から「時計の時間」へ
「時間規律の身体化」と「時間の私有化」
「時間の私的所有」のパラドックス
「所有」に嫌気がさしはじめた若者たち
自立とは「依存先を増やすこと」
ヤマタノオロチを目指す現代の飛脚(「飛脚の加藤」加藤貴之さん)
つながりで生きていける「フルサト」をつくる(「へんぼり堂」鈴木健太郎太郎さん)
関係の中から生まれる「役割としての仕事」(「つむぎや」友廣裕一さん)
ひとつのモデルを追求する時代の終わり
過去と未来を含み込んだ現在を創造する
第四章 ソーシャル・イノベーション ─経済活動を通じて社会変革をもたらす「産霊(むすび)の力」─
暴走する市場経済・マネー資本主義
GDP成長率に替わる発展指標──ウェルビーイング、GNH
かつての経済思想家たちがとらえた「富」そして「経済」
使用価値と交換価値
経済社会発展を駆動するイノベーション
「新結合」による新たな価値の創造
時代が求めるイノベーションのかたち
ポスト産業資本主義への移行とイノベーション
経済活動を通じて社会課題の解決に結びつくソーシャル・イノベーション
「志」を可視化するトライ・サークル・モデル
ソーシャル・イノベーションが官、民、市民の三セクターを「リ・バランス」する