地域再生入門――寄りあいワークショップの力
(
山浦 晴男 )
◆地域再生のためには、地域住民が内発的に立ち上がるしかない。ではそれはいかにして可能か。住民・行政・NPOの連携・協働の仕組みを理解した上での住民のワークショップが鍵となる。「寄りあいワークショップ」の技法を開発し、日本各地で実践してきた著者が、数多くの成功例を紹介。子供から年寄りまで、住民の誰もが参加し、連帯感をもってアイデアを出しあい、地域を動かしていく方法を伝授する。どこの地域でも、どのような立場でも役立つ地域再生の原理と方法の入門書。
目次
はじめに
第一章 分析
1 なぜいま住民が立ち上がらねばならないのか
「地方消滅論」で追い込まれる住民
離島振興法に見る地域再生の哲学
「素人の住民に計画がつくれるのか」
学問と行政のタテ割り
2 これまでの地域づくりの問題点
陳情型に浸かった住民
行政の支援事業の限界
ハード志向から、新しい価値の創造へ
3 現場にこそ答えがある
住民、そして女性こそ地域の専門家
住民の中に答えはある
地域を支援する国の動き
市民の登場
若者の田園回帰
第二章 理論
1 ソフトの基盤整備
ハードを整備しても人がいなくなる
ヨコの組織と教育の衰退
話し合いの場──「寄りあい」の伝統
寄りあいワークショップ
コミュニティの創造性開発
2 行政の役割
地域再生の協働の仕組み
住民・行政・NPOの連携・協働の仕組み
タテ割りの弊害への対処
3 地域自治コミュニティの再生
地域の将来を話し合う
金儲けより「話ができる」こと
地域自治コミュニティ再生の原理──革新の力
第三章 方法
1 内発力に火をつけろ!
高齢化率一〇〇パーセント近くでも立ち上がれる
日本人の原動力は「みんなの思いは同じという安心感」
2 寄りあいワークショップの原理
問題の解と合意の創造
連帯感の醸成
見える化チームマネージメント
3 寄りあいワークショップの進め方
地域再生起動ステップガイド
ステップ0 設営・提供
ステップ1 事前調査
ステップ2 課題の明確化
ステップ3 現地調査
ステップ4 実態の把握
ステップ5 アイデア出し
ステップ6 解決策・実行計画立案
ステップ7 実行組織立ち上げ
ステップ8 実践と取材
ステップ9 結果の検証
ステップ10 次計画立案
ファシリテーターの養成
第四章 実例
1 打率五割の地域再生──和歌山県水土里のむら機能再生支援事業創
事業のあらまし
商標登録によるブランド戦略──紀の川市鞆渕地区
都市圏の人たちとの連携を突破口に──橋本市柱本地区
住民の手で地域の販売拠点を復活──印南町上洞地区
未曾有の台風災害からの地域再生──新宮市三津ノ地区
2 地方自治の最先端の試みによる地域再生──山梨県富士川町総合計画創
取り組みのあらまし
総合計画の立案過程
自治区での実行計画の実践
3 考え方が異なる住民同士の連帯──福島県富岡町災害復興計画創
取り組みのあらまし
原発事故広域避難者の発言の思い
検討委員会の検討過程
住民と行政の協働による実行計画の立案・実行
4 教育・福祉からの地域再生──静岡県函南町子育て支援ワークショップ創
取り組みのあらまし
住民と行政職員がともに成長する
住民と行政の連携・協働の拡大
5 未曾有の被災から立ち上がる──宮城県石巻市田代島創
住民の内発的な力の源泉
取り組みの経過と内発力を導く要因
大震災後の田代島
第五章 意味
1 住民の手で持続可能な地域づくり
外発型地域開発から内発型地域生成へ
地域資源・伝統文化の再発見
三世代が暮らせる地域へ
2 地域経営の手綱を取り戻す
地域経営と企業経営は違う
多業のビジネスモデルの開拓──家族稼業の創出
IT社会と高学歴を味方につける
3 経済のグローバル化に見合うローカル化
グローバル経済一辺倒では危うい
ローカル経済で暮らしの安全保障
人口減少社会の豊かな暮らしとは何か
新たな地域再生の段階へ