ヤンキーの虎 新・ジモト経済の支配者たち
(
藤野 英人 )
◆地方経済の主役交代が始まった! 地方経済を支える新・起業家たちの実態、ビジネス手法を紹介する。
◆“ヤンキーの虎”とは、どのような人たちなのでしょうか。一言で言いますと、次のような人や企業のことです。「地方を本拠地にしていて、地方でミニコングロマリット(様々な業種・業務に参入している企業体)化している、地方土着の企業。あるいは起業家」これが“ヤンキーの虎”の位置付けです。「地方豪族」と言ってもよいかもしれません。彼らが最も好むのは、「シンプルで、でっかく儲けられそうなもの」。それほど複雑なビジネスモデルではありません。とにかく儲けられそうだと思ったら、すぐに始める瞬発力と柔軟さを持っているのです。(中略)安倍内閣は、「地方創生」を日本再興戦略の一つの柱に据えました。また、前岩手県知事を務めた増田寛也氏の著書『地方消滅』(中公新書)はベストセラーとなりました。そういった意味では、今、地方にスポットライトが当たっています。そして、そのような地方創生の立役者となるのは、間違いなく“ヤンキーの虎”だと思います。ただ、彼らが地方経済の救世主となるのか、あるいは悪魔となるのかは分かりません。実際、ヤンキーの虎にも色々な人がいて、自分の金儲けだけに熱心な人もいれば、地方経済のことまで考えている人まで、幅広いのです。いずれにしろ、彼らに稼ぐ能力があることに対してはリスペクトしたいと私は考えています。
◆地方経済の主役交代。いま地方経済を支える新・起業家たちの実態、ビジネス手法。
目次
序章 知られざる成長ビジネスが地方にある──ジモト経済を席巻する「ヤンキーの虎」
縮小する地方で成功者となった「ヤンキーの虎」
大増殖している「ヤンキーの虎」~地方をまわって見えてくるもの
大きな注目を集めた「マイルドヤンキー」論
マイルドヤンキーはどこで働いているのか
衰退しつつある地方にも、ビジネスチャンスは多い
ヤンキーの虎の最大の武器は「地縁血縁」
ヤンキーの虎は、地方経済の救世主となるか?
第1章 「ヤンキーの虎」はなぜ生まれたか──小泉改革、IT革命の功罪
小泉改革で一度、破壊された地方経済
大ダメージを受けた地方で、這い上がろうとする経営者たちがいた
携帯電話の驚異的普及とフランチャイズ化の波
経営者の高齢化、経営者レベルの低下
金融庁のプレッシャーから、金融機関がお金を積極的に貸し出すようになった
ヤンキーの虎の特性は、「若さ」「チャレンジ精神」「情報収集能力」
「能力か運がない」発言をした麻生太郎氏こそ最強のヤンキーの虎
なぜ、地方にはおしゃれなパン屋が多いのか?
IT化の波も、ヤンキーの虎にとって追い風となっている
都市部は「ベンチャーの虎」、地方は「ヤンキーの虎」
第2章 「ヤンキーの虎」の実像に迫る──その生態、価値観から嗜好性まで
1 ヤンキーの虎たちはどのような人物なのか?
最先端のビジネスモデルよりも、シンプルな原理原則を求める
「失敗したくない」からコストをかけて情報を仕入れている
「カネより仲間」ヤンキーの虎は人材に興味を持つ
バブリーな先代社長と、スマートな2代目社長
ヤンキーの虎のキーワードは「事業意欲」「仲間意識」「スポーティ」
2 ヤンキーの虎の絶妙なビジネス戦略~ファーストグループ社長藤堂高明氏
自動車整備業は、大変オイシイ仕事だった
父から受け継いだ会社は、大借金企業だった
「事業継承問題」で大混乱。そこで価値観が大きく変わった
M&Aで飲食業にも参入した
地域の中で「食える生態系」をつくる
「ストックビジネス」と「フロービジネス」を組み合わせた
飛躍的な事業拡大のために必要な二つの鍵「地域密着」と「地域拡大」
最終目標は「経営者輩出企業」になること
地方衰退を食い止めるためには、人材の流動性を高めることが必要
3 青果業で培った商人道で運送会社を築き上げ、上場企業へ成長させた~丸和運輸機関社長和佐見勝氏
母の病を治そうとして起業を志した
押してはならない判を押して全てを失い、トラック1台から運送業をスタート
物流効率が求められる時代に「物流フルライン一括システム」を開発
平均年齢を下げて賃金を圧縮した分、教育に投資する
第3章 「ヤンキーの虎」のビジネス手法──なぜ強いのか、投資家の視点で分析
地方でプラットフォーム・ビジネスを制したヤンキーの虎
人材は能力よりも地縁や血縁を重視
ヤンキーの虎にとって地方は「ナショナルブランド企業の養成学校」
M&Aは人材獲得の大チャンス~巨大化した「ヤンキーの虎」コシダカHD
コシダカは、地域に「居場所」をつくって成功した
高収益力の秘密は「本社コストの抑制」
地方政治を牛耳るヤンキーの虎
ヤンキーの虎を経営指南するカリスマコンサルタントの存在
第4章 「ヤンキーの虎」と地方の未来はどうなるか?──政府の経済政策が大きく変わり始めている
低迷する日本経済にメスを入れた「伊藤レポート」
【日本経済をダメにした原因1】大企業の「サラリーマン経営者」
【日本経済をダメにした原因2】サラリーマン化した「機関投資家」
ROEが5年で平均5%を下回ったら、社長はクビにしろ
日本にも、投資先企業はたくさんある
【日本経済をダメにした原因3】800兆円を抱え込む「個人」
政府の経済政策は「ヤンキーの虎」にとって強い追い風となる
「動く人」と「動かない人」~行動の二極化が起こる時代へ
シャッター商店街は「貧しさ」ではなく「豊かさ」の象徴
日本や地域は、自分たちで救うしかない
ヤンキーの虎は2020年まで急成長する。ただし、その後は……
2025年以降、正念場を迎えるヤンキー経済
第5章 「地方創生」に向けた私の取り組み
本業を通じて地方創生に貢献していく
オフキャリアの居場所「コンティ」をつくる
「居場所ビジネス」は中長期的に注目が高まる