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家庭生活新体制を目指す主婦指導の全国的展開(1)

東京産業報国会『大政翼賛会中央協力会議議事録抜萃:第1回』(1941)

桐淵とよ女史

 私の提案は家庭生活新体制を目指す主婦指導の全国的展開に関する問題でございます。この日本の国の大使命を達する為には、あらゆる方面からの新体制が必要でございますが、家庭生活新体制の確立こそは目下の急務であると思います。家庭生活のことは国家にとってどんなに大きな役割を持つか、立派な国民を作ることも、非常時経済の確立も、生産力の確保も、こうした真の国力の充実はその源は家庭生活から出るといっても過言でないと思うのであります。家庭生活こそ決して私事ではなく真の公のもの国家のものであり、日々の生活の一つ一つ一銭のお金を使うことも、一匙ひとさじの砂糖の消費も、寝ることも起きることもそれが直接国家に繋がる重大問題であることを全国民が今こそはっきりと自覚すべきであると思うのでございます。

 翻って我が国家庭生活の現状をかえりみますと、まだまだこうした点の自覚に欠けるもの、不合理、不経済、不健全なものなど憂うべき点を沢山に見出すのであります。生活を根本から検討し工夫して新しく出発することがこの際実に大切な問題であり、これを実現する為には全国の主婦に対する適切な指導訓練こそ本当に緊急な、そして建設的な事業であると信じます。そしてこのことは今の時代の日本の一つの義務教育であるとも言いたいのでございます。官民男女の密接な団結と全国主婦の一大奮発によってこれが成し遂げられ、全国的に立派な家庭を築くことが出来たら、どんなにこの国の大きな力となり、真の国の護りとなるでしょう。私は体験を通じ主婦として母としてこのことの実現を心から願ってこの提案を致した次第でございます。

 建設案と致しましては、まず私が今直接携わって居りまする大阪の家庭生活新体制運動の実情を申し上げてご参考に供したいのでございます。大阪では中央の新体制運動に呼応して、今年一月から十二月までを一期としてお手元にお配り致しました要項の通り市民生活新体制運動を実施中であります。この実施項目は三つございますけれども、家庭生活の新体制というものがその重要な部門を成すものでございます。全市七十万世帯、七万隣組にこのことが如何に実施され、結局一つ一つの家庭が、また隣組がどんなに変わりつつあるかをお聞き願いたいのであります。詳しいことは省きまして大体を申し上げたいと思います。なお聡明な理解をして戴く助けと致しましてお手許に差し上げました大阪市の町会組織図表ABをご覧戴きたいのでございます。

東京産業報国会『大政翼賛会中央協力会議議事録抜萃:第1回』(1941)p162-181

※文章は読み易くするため適宜、旧漢字は新漢字に、ルビや送り仮名、仮名づかいなども訂しています。

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